歯科における「接着治療」とは
現在、歯科治療用の接着材の登場と進歩により、「接着治療」が可能となっています。接着治療によって、歯質の削る量を最小限度に留めたり、治療後の歯を長持ちさせることにつながる治療を行うことが出来るようになりました。
従来はセメントによる「合着」だった
従来のむし歯治療では、例えばインレーという詰め物をする場合には 「セメント」 というものを使用して、歯を削って作った溝に「はめ込む」形をとっていました。この方法の場合、むし歯の部分よりも大きく削る必要があったので、健康な歯質を多く失うというデメリットがありました。
二次むし歯の発生
従来の治療の場合、はめ込んでいるだけで、接着してくっついているわけではないので、口腔内の過酷な環境によりセメントが溶け出すと、その部分に隙間ができて、詰め物が外れたり、隙間から細菌が入り込み、詰め物の下で二次むし歯ができることも少なくありませんでした。
特殊な接着材を使用した「接着」治療
近年では歯科用の接着材の開発や進歩によって、より質の高い「接着」による治療が可能となりました。「接着治療」 では、強い接着力を発揮する特殊な歯科用接着材を使用して、詰め物などと歯質をくっつける(接着する)ことから、むし歯の部分だけを最小限で削る治療(M.I.治療)が可能です。当院ではこの「接着治療」に対応しています。
自由診療の接着材料
保険のコンポジットレジンの場合、中心部から効果が進み、縮むことで歯質との間にすき間が発生しやすくなります。対して特にスーパーボンドという自由診療の接着材料では、歯質と接触している部分から効果がはじまり、ピッタリとくっつく特性(優れた封鎖性)があります。
当院で使用する接着性の歯科材料
当院では、なるべく削らない治療や破折歯の治療を行うことからも、接着性の歯科材料は厳選したものを使用しております。
スーパーボンド
スーパーボンドは、アクリルレジン系の歯科接着用レジンセメントで、文献には「4-META/MMA-TBBレジン」として紹介されています。スーパーボンドのモノマー液には、モノマーの歯質内への拡散を促進させ、樹脂含浸歯質の生成を確実に行う原動力である「4-META」(4-Methacryloxyethyl trimellitate anhydride)が含有されています。この「4-META」は1978年に東京医科歯科大学医用器材研究所の増原英一教授、中林宣男教授ら(当時)による一連の研究成果として生まれたものです。また、スーパーボンドは、象牙質に対し高い接着強さを示します。特に完全な乾燥が困難な生活象牙質でも、安定した接着性と封鎖性を発揮する特徴があります。このような良好な象牙質接着性をスーパーボンドが発揮する機構として、接着界面の象牙質側に他の接着システムと比較して良質な「樹脂含浸象牙質」を形成することが確認されています。